Ping-WAVE α
ねぇ、1たす1は、いくつだと思う? まあ、そう怒らないで。バカにしているわけじゃないんだ。
で、どう? 1たす1は?
……ご名答。君の言う通り、1たす1は2だ。
じゃあ君は、その答えは本当に正しいと言い切れる? それが正解で、それが現実で、この世界の真理であると考える?
……そう、残念ながら、2になった1と1は、やはり1と1でしかない。決して交わらず、いつ分離するかわからない恐怖に怯える1が、たまたまそこに2つあるというだけのこと。
ぼくらは、誰かと一緒でいるふりをして、誰かと一緒にいるとみせかけて、その誰かと同じになることなんてできない。永遠に孤独のまま、足元の絶望から目を逸らしているにすぎないんだ。
そんな顔するなよ。わかった、少し話を変えようか。
1たす1が、1になること。ぼくは、それが一番美しい答えだと思うんだ。
完全なる融合、完全なる調和──。どうだい、シビれるだろう?
だけど、この世界は美しくない。この世界の1たす1は、2になるどころか、0になってしまうことも珍しくない。
わかりやすく教えてあげよう。この世界はね、箱みたいなものさ。一人一人ひとつひとつ、自分という箱に詰められている。
でも、箱の中にいるうちに、みんなどんどん腐っていくんだ。忘れていくのさ。自分がどんなことを考えていたのか、なにをしたかったのか……。
自分がどんどん奪われて、箱の外から『与えられた者』だけが、『与えられたもの』でできた1になる。ありのままの姿を忘れた、つぎはぎの存在。それでも、そうなってようやく、人は1であることを許される。
理不尽だと思わないか? 醜い姿だと思うだろう? それでも、それが『世界のあるべき姿』なんだ。まったく、バカげた話さ。
……与えられなかった者がどうなるのか、知りたい?
その者はね、きっと、なに者にもなれない。あったことがなくなって、なかったことになってしまう。
そうなったらもう、存在すら確かめられない。消えるのさ。キレイさっぱり、跡形もなくね。
人を踏み台にしておいて、そんなことに気づきもしない醜い卑怯者たちが、よってたかって我が物顔で、世界を支配してるんだ。そんな世界は間違っている。君も、そう思うだろ?
話を戻そう。醜くなってしまった世界に、美しい形を取り戻すには、どうしたらいいと思う?
……昔ね、試してみたことがあるんだ。──ああ、そうだね。確かに、それもその一つだった。
あの時ぼくは、この世界を本来の姿に正すために、今あるルールを壊そうと考えた。まあ、誰かさんに邪魔されちゃったんだけどね。
1たす1を、1にする。そのための方法を、僕はずっと探していたんだ。たとえば……そうだな。
ある箱の中に、0になろうとしている1がある。彼の箱を壊して、ごちゃごちゃにかきまわして、ぐちゃぐちゃにかき混ぜた。
そして、同じような1を集めて、一つの箱に入れてみた。ドロドロになった1と1で、1たす1を試してみたのさ。
さて、どうなったと思う?
──じゃあ、その話を聞かせてあげよう。